本日の演目

1 呼竹 受竹 よびたけ うけたけ      志村禅保 クリストファー遙盟

虚無僧たちが托鉢の際に、作法の曲として挨拶代わりに吹いた曲。この短い旋律で、どの地方の虚無僧であるかが分かったという。


2 明暗対山派本曲 瀧落 たきおち     志村禅保(照明作 三尺三寸地無し管)

今回の課題曲の一つ。伊豆の旭瀧をテーマに江戸時代に作られた曲。尺八の各流派に同名異曲が存在する。明暗対山派は素朴で、地無し管による演奏が水流の表現を際立たせる。


琴古流本曲 瀧落の曲 たきおとしのきょく
            クリストファー遙盟(山口四郎作 一尺八寸地有り管)

琴古流「瀧落の曲」は、きめ細かい装飾音と、優雅な旋律パターンの繰り返しにより構成されている。今回の地塗りの尺八による演奏は、音色のつやに注目したい。


琴古流本曲 鹿の遠音 しかのとおね     志村禅保 クリストファー遙盟

最も知られる尺八の曲の一つ。秋の深山に、遠く響きあう鹿の鳴き声の描写が秀逸。


           *** 15分の休憩 ***


胎蔵界 たいぞうかい    クリストファー遙盟 (山口秋月作 二尺九寸地無し管)

クリストファー遙盟は若い時、高野山胎蔵曼荼羅(大悲胎蔵生曼荼羅)を見て、感銘を受けた。中央に大日如来、回りに十二の院に分かれ無数の如来放射線状に坐っている。それぞれの如来を「音」として考えると、曼荼羅は一つの曲を描いていると思いあたり、深い感動が押し寄せてきたという。


6 虚空 こくう 他  志村禅保(林虎月作 地無し古管「松風まつかぜ」、「虫の音」)

「虚空」は尺八古曲として最も大切にされている曲の一つ。作曲者とされる寄竹(きちく)は夢の中で妙音を聞き、曲を書きとめたと言われる。今回、江戸時代の古管尺八の名器により、竹の違いが楽しめる選曲となっている。