知半庵では

「知半庵」は450年ほど続いた伊豆の庄屋「菅沼家」の屋敷で、平成初期まで菅沼家の人々が住み続けてきました。六つ間取りと呼ばれる建築構造を持ち、神棚には鯉の水差しが置かれるなど、江戸時代の伊豆の建築様式が偲ばれる民家で、裏庭には孟宗の竹やぶや、一対の石の祠があり、屋敷と千坪余りの敷地を守っています。

© IWASA Eiichiro, Chihan Art Project

知半庵は、旦那衆の遊び場としても古くから多くの文人や芸術家が行き交い、逗留し、昭和初期までは定期的に句会も開かれていました。
伊豆の名僧唯念、映画監督で俳人としても有名な五所平之助、劇作家の久保田万太郎、作家の林芙美子などの文化人が歌を詠み、交流する場でした。菅沼家は、すぐ近くに居を構えていたアララギ派最後の俳人穂積忠や、作家の井上靖の親戚筋にあたります。